海を使って新たな価値を―壱岐島の目指す地域創生

イルカに魚をあげたり、触れたりして遊ぶことができる「ふれあい体験」に加え、イルカと一緒にスノーケリングやダイビングを楽しむこともできるようになった「壱岐イルカパーク&リゾート」。子供たちに人気のアスレチック遊具施設や、バーベキュー広場も用意されている。

「壱岐イルカパーク&リゾート」は、公営時代が赤字だったこともあり、料金が大幅に改定されている。以前は200円だった入園料が、現在は大人500円、中学生以下250円となっている。ただし、島内の住民は島民カードを見せることで無料となる。

パーク内で体験できるアクティビティの中心になるのが、イルカとトレーナーのトレーニング風景を間近で見ることができる「プレイングタイム」である。こちらは入園料だけで1日2回のショーを楽しめる。

このほか、イルカとタッチしている姿を記念撮影する「タッチアンドフォト」、一緒に泳ぐことができる「スノーケリング」や「ダイビング」、イルカのトレーナーの仕事を体験する「トレーナー体験」などもある。

イルカとふれあえる体験を強化

私が体験させてもらったのは、イルカたちに魚をあげられる「イルカにごはん」と、泳ぐイルカとハイタッチする「タッチタッチドルフィン」だ。無邪気で遊び心に溢れたイルカたちは野生のイルカと変わらないように見える。しかし、今まで野生のイルカと泳いできた私にとって、「飼育されたイルカ」に触れ合う前は正直複雑な気持ちであった。イルカだけでなく、動物はみんな野生の姿でのびのびと生きていてほしいとの想いがあるからだ。

ここにやって来て何年も経っているイルカ。トレーナーが生けすのそばに行くと嬉しそうに泳ぎ、良好な関係を築いてきた様子が見てとれる。そんなイルカを見て、「彼らにとっての幸せは何なのだろう?」と複雑な想いが頭の中をぐるぐるとめぐっていた。

しかしその後代表の高田さん、そしてトレーナーの話を聞いて感じたことは、彼らが目の前のイルカたちのことを誰よりも考え、「今置かれた状況の中でイルカたちにとってベストな環境を用意したい!」と強い気持ちを持って向き合っているということ。

来場客が楽しめるイルカとの体験プログラムでも、イルカが驚いたり、ストレスを感じたりするようなことがないよう気を配り、イルカの体調を最優先に実施していると聞き、胸をなでおろす気持ちだった。

「イルカにごはん」を体験

高田氏にさらに話を聞いてみた。

-イルカパークの再生は地元にどんな効果をもたらすのでしょうか。

一つには、直接的な雇用の創出です。さらに長期的には、そうした雇用があることで、壱岐島を出た子供たちが島に戻ってきたいと思えるようになればいいですね。

都会への憧れを持って島を出た子供が、「壱岐にはもっとすごい場所があるぜ!」と自慢できるような場所になったらと思っています。イルカと遊ぶ原体験が持てる地域も少ないですし、この島には地方としてたくさんの可能性があります。「壱岐イルカパーク&リゾート」は1つのカタチでしかないので、他にできることをもっとやっていきたいですね。

海に関わりのない方は陸上という面から物事を捉えがちな中で、海という切り口を加えるだけで今ある価値がもっと大きくなるのではないかと思っています。日本は島国なので、海の使い方、海面の利用をより広い視野で考えていけたら、地方創生のネタがもっと増えるでしょう。

壱岐島にはたまたまイルカがいたので、イルカとのダイビングというカタチになりましたが、それ以外にできることの可能性も大きいと感じています。例えば、海のアクティビティでは、地元の漁師さんと連携してレジャーを開発していったら、状況はグンと変わると思っています。

天然の入江を仕切ってつくられた「壱岐イルカパーク&リゾート」は海浜公園といってもよい。入り江の脇には、アスレチック遊具スペースがあり、子供たちが楽しく過ごせる。 

また、敷地内にある新しくオープンしたカフェスペースでは、地元の食材を使ったメニューが食べられる。第1回目で紹介したパンケーキに加え、これまで壱岐にはなかった食材も提供されている。

入り江のアスレチック遊具施設の反対側には、バーベキュースペースが用意されており、7月6日にはデイキャンプの体験イベントが開催された。さらに、1日1組限定の宿泊サービスもあり、イルカと心ゆくまでゆったりと過ごしたい方にはお薦めだ。

壱岐イルカパーク&リゾート: http://www.ikiparks.com/iruka