生まれ変わった壱岐島のイルカパーク、ふれあいを重視

1995年にオープンした、イルカと触れ合える長崎県・壱岐島の「壱岐イルカパーク&リゾート」が、プログラム内容や施設を一新し生まれ変わった。水中でイルカに出会えるダイビングやスノーケリングなどの体験プログラムが追加され、様々な施設も増設された。「壱岐イルカパーク&リゾート」から発信する壱岐島の地域活性化のビジョンを伺うため壱岐島を訪れた。

「わ〜!かわいい!」「あんなに高くジャンプしてる〜!」
来場客の視線の先には天然の入江を仕切った海で泳ぐ愛らしいバンドウイルカたちの姿が見える。ここは2019年4月25日にリニューアルオープンした長崎県・壱岐島の「壱岐イルカパーク&リゾート」だ。

長崎空港から飛行機で30分、博多港から高速船で1時間という好立地にある壱岐島。その北端の勝本町に、豊かな自然に囲まれた「壱岐イルカパーク&リゾート」がある。天然の入り江を仕切った海洋公園には、現在「あずき」「エイラ」「ステラ」「はじめ」の4頭のバンドウイルカが飼育されている。併設のカフェスペースには大きな窓が設置され、イルカが泳ぐ姿を眺めながら、のんびりとした時間を過ごすことができる。

「壱岐イルカパーク&リゾート」のバンドウイルカたち

リニューアルに伴い、イルカにごはんをあげる体験、イルカと一緒に泳ぐスノーケリングやダイビング等、イルカたちと触れ合えるメニューが追加された。カフェではパンケーキ王子として著名な杉本悟氏が経営する「VERY FANCY」のフワフワ半熟パンケーキや、壱岐島の旬で新鮮な食材を使ったフードメニューも提供されるようになった。また施設内には、イルカにまつわる写真集、壱岐島の歴史に触れられる本がずらりと並んだ図書スペースも備わり、コワーキングスペースとしても利用可能だ。

公営の施設として運営されてきた当施設だが、どのような経緯で民間との共同出資によってリニューアルオープンすることになったのだろうか。

2019年4月にリニューアルオープン

「壱岐イルカパーク&リゾート」を運営するのはIKI PARK MANAGEMENT。長崎県壱岐市と、内閣府の国境離島プロジェクト推進アドバイザーでもある高田佳岳さんによって共同出資で設立された会社である。

国境離島プロジェクト推進アドバイザーとして、各地の離島を訪れていた高田さんは、壱岐島に特別な心地よい空気を感じていたという。そんな中、仕事で関わる市役所職員から赤字経営が続いていた「壱岐イルカパーク」について話を聞いたという。

長崎県壱岐市と共同でIKI PARK MANAGEMENTを設立した高田佳岳さん

スキューバダイビングのインストラクターだった過去を持つ高田さんは、最初は「飼育されたイルカ」の話に乗り気ではなかったが、市役所職員の熱い想いに心動かされ「壱岐イルカパーク」を訪れた。

そこで泳ぐイルカたちの姿をみて、自身が関わることで少しでもイルカをとりまく環境をよくしたい、そしてそれによって勝本町に活気が戻り、ここが入り口となってその活気が島全体に広がっていくことができたら、との想いで今回の再生計画に立ち上がった。

-「壱岐イルカパーク&リゾート」および同施設を通した壱岐島全体の地方創生にどのようなビジョンや想いがあるのですか。

世界的な大きな流れとしても、水族館など展示のための野生動物捕獲に対する風当たりが強まる中、トレーナーや私も、野生のイルカを捕まえてここに連れて来るということは続けたくないと思っています。

最初にトレーナーと話をした時に、「今ここにいるイルカに触れられたり、近くで見られたりすることによって、イルカと共に生きるという提案をしていきたい。イルカの存在が身近になれば、イルカや海への理解も深まるし、保護に対するマインドも育つ。そういうことをトータルでやっていきたい。」という強い想いを知ったのです。それは素晴らしいことだし、それならその方向で進めようという話になりました。何をしても人間のエゴにはなるけれど、実際に水族館や動物園の動物を見て、それに触れて心が育つという一面もありますから 。

-今後の目標を教えて下さい。

将来実現したいことはイルカの繁殖です。恒常的にイルカと触れ合っていこうとした時に、「捕獲しない」のであれば、産んでもらうしかない。大海を知っていることが幸せかどうかという議論はありますが、ここで生まれたイルカはこの中で最高の幸せを享受できるかもしれない。だから繁殖したイルカをここで飼育したいという気持ちがあるのです。そして、生まれたイルカは母親の近くに居させてあげたいし、群れを作る動物なので、群れでも泳がせてあげたい。せっかく天然の入り江があるのに、現状ではそれができていません。

今後は多くの方の意見を聞きながら、人とイルカの関係性を近づけていけるような施設にしたいと考えています。まずはここに何年も住んでいるイルカを守っていくこと、そして、新たな道として、来場者がアクティビティを楽しみながらイルカや海のことを学べる場にしたいです。

ここで体験できるアクティビティは、他の水族館がやっていることと一見変わりませんが、その1つ1つの中でイルカとの心の距離は近く感じられるものを目指していきたいと思っています。

壱岐イルカパーク&リゾート: http://www.ikiparks.com/iruka