「持続可能な場所」を目指して、Share金沢が見据える未来

子どもから大人まで、障害の有無にかかわらず誰でも暮らせる「Share金沢」前編では、そのコミュニティを形成する多様な施設と斬新な仕組みをご紹介した。後編では、実際にここで働く職員の方の目線を糸口に、Share金沢が直面している課題と今後の展望に迫る。

「人がつながり、支え合い、共に暮らす」というコンセプトもさることながら、実際に見学して知った数々の仕掛けは、傍からみるととても魅力的に映る。一方、実際にここで働く職員や居住者の目に、この場所はどう見えているのだろうか。そんな実情に迫るべく職員の方に声をかけたところ、今回特別にお話を伺うことができた。

お話を聞かせて頂いた、施設内の飲食スペース

前職は広告業界だったというが、Share金沢が掲げるコンセプトに魅かれて、転職を決意したという。「思い切った決断をされましたね」そう問いかけると、こんな反応が返ってきた。

「よくね、まったく違う道を選びましたねって言われるんですけど、実はそうでもないんですよ。向き合う対象は違えど、みんなで力を合わせて一つの企画を作り上げていくことには変わりない。どうしたらこの街をもっとよくできるか?どうしたら住んでいる人にとって心地よい場になるか?そんなことを考えながら、日々過ごしています」

住民が集うことができる開放的なスペース

この方の発言からは、街をより良くしていこうとする主体性が感じられ、心強い。しかし、そんなShare金沢にも、避けては通れない課題があるという。

その焦点となるのは、「介護」や「医療」だ。高齢者が住めるということは、いずれ介護や医療が必要になる可能性が高いということでもある。ただ、サービス付き高齢者向け住宅はあるものの、介護施設や医療機関はない。今後そうした事態にどう対応していくのかについては、これまでもずっと議論されているのだという。

様々な議論が展開される、施設内の会議室

「一見素敵に思えるコンセプトを掲げたり、斬新な取り組みをしたりするだけでは、長続きしません。面白さだけではやっていけない。なぜなら、実際にここに住む人の暮らしがあるからです。住人がきちんと生活を送れて、ちゃんと幸せに暮らせるような場所を作っていかないと、持続可能な場所にはならないと思うんですよね」

「だからこそ、目の前の住人が今、自分に期待していることは何なのか?本当に世の中から求められているものは何なのか?その問いから逃げずにまっすぐに向き合いながら、この街を作っていきたいと思っています」

職員が見つめる先には、ここで暮らす住人の姿が

設立から5周年を迎えるShare金沢。世間の注目を集め、人気を博しているこの場所は、そんな現状に甘んじることなく、もっと先の未来を見据えていた。おそらく今後も、Share金沢に次ぐようなコミュニティが続々と生まれていくだろう。そして、彼らもまた「医療」「介護」という問題に向き合わざるを得なくなる。

先んじて課題に直面しているShare金沢が、次にどんな一手を打つのか。それは、住民の暮らしをより豊かにするばかりでなく、後に続く者にとっても、示唆に富む事例となりそうだ。