サーフィンのあるライフスタイルをブランド化、日向市の取り組み

サーフィンと海に着目した地域活性化で注目を集めているのが、宮崎県日向市だ。コンスタントに波があることを生かし、世界ジュニアサーフィン選手権の誘致などにより知名度を高め、 移住者や観光客に関心をもってもらう取り組みを進めている。 「リラックス・サーフタウン日向」を打ち出す日向市を訪れ、その魅力を紹介していこう。

宮崎県の北東部、日向市に国内トップクラスのサーフスポットがあることをご存知だろうか。2016年11月に投稿された日向市のPR動画「Net surfer becomes real surfer」は再生回数90万回を超え、目にしたことがある人も多いかもしれない。

内気な青年が、日向の海でとあるサーファーに出会ってサーフィンをスタートさせ、2カ月の間で見た目にも内面にもイキイキしていくというストーリー。夢が詰まったこの動画に多くの方が胸を弾ませたに違いない。このPR動画をはじめ、日向市は「ヒュー!日向」をキャッチフレーズに、全国屈指のサーフスポットを抱える地域ならではの魅力を発信する「リラックス・サーフタウン日向」のプロモーションを2016年12月に開始。サーフィンを目的に日向市に訪れた人は2016年から2017年の1年間で約6万5000人増加した。

サーファーに人気の金ヶ浜はこの日もいい波が立っている

日向市は、2018年に来場者約7万5000人を記録した豊作祝いや商売繁盛を願うひょっとこ踊りを楽しめる「日向ひょっとこ祭り」、特産物である柑橘の「へべす」、日向市出身の国民的歌人「若山牧水」などの地域資源を持つが、なぜサーフィンに焦点をあてたPRに踏み切ったのだろうか?

理由の1つとして、サーフィン以外の地域資源は「それ自体が何か?」という説明が必要であるが、サーフィンは広く知られているため、その必要がないということ。また、日向市は温暖な気候と年間を通してコンスタントな波がくる海岸環境に恵まれ、国内トップクラスのサーフスポットがあるということ。そこで、ポテンシャルの高さを生かし、サーフィン・海に着目した「リラックス・サーフタウン日向」プロジェクトが立ち上がったのだ。

同時に、世界ジュニアサーフィン選手権の招致など、国際的なイベントを積極的に行うことによって、国内外から大会に参加したサーファーからも日向市のサーフ環境が認められることとなった。名実ともにサーフィンのある暮らしが楽しめる場所へと変化していく「リラックス・サーフタウン日向」。その楽しそうでおしゃれなイメージをきっかけに、移住者や観光客に関心をもってもらう取り組みを行なっている。

今回はそんな日向市のサーフィンが暮らしの一部であるライフスタイルを体験しながら日向市の魅力に触れていこう。

取材で訪れたのは4月後半。温暖な気候も魅力の1つであることもあって、4月でありながら半袖でも過ごせるくらい暖かい。最初に日向市で有名なサーフスポット小倉ケ浜へ向かった。ビーチに到着すると全長4kmの広く抜けた景色が出迎えてくれた。

この日は日曜ということもあり、多くのサーファーがサーフィンを楽しんでいる。驚いたのは、駐車場に並ぶ車に関西ナンバーが多いことだ。休みの日には、日向の波を求めて関西方面からも車を走らせてやってくるのだという。

小倉ケ浜で出会った、サーフィンが好きで移住した方にお話を聞くことができた。

小倉ケ浜で会ったサーフィンが好きで移住した方

—日向に移住してどれくらいですか?

引っ越してきて7年です。移住の前は25年間、日向の海に惚れて奈良から車で通っていました。ずっと日向に移住したい気持ちはあったのですが、仕事を辞めて家族全員で移住するということはなかなか決断できずにいました。

—では、何がきっかけで移住を決めたのでしょう?

7年前のある日、僕の心臓がとまって突然倒れてしまったんです。それで1カ月ほど入院したんですが、その時に妻から「日向に引っ越そう」と言われ、移住を決めました。僕自身も、その出来事のおかげでいつ死ぬか分からないし、ずっと思っていたことを実現しようと踏ん切りが付きましたね。

波がコンスタントにやってくる日向の海

—移住してからの心境や生活スタイルの変化はありましたか?

海がそばにあって、サーフィンが生活の中にあるので毎日がリラックスしている感じですね。ただ仕事面では、以前と比べると稼げる金額が減ったので、心配ごともないわけではないです。でも一番の良さは、家族がご飯を食べられてプライベートの時間が楽しいということ。日向に来て、子供達も自然とサーフィンを始めるようになり、今では家族全員でサーフィンを楽しんでいます。お金をかけなくても遊べる環境があるので、子供たちは少ないバイト代でも毎日目一杯楽しんでいます。

—最後に、日向の魅力はなんでしょうか?

僕たちにとってはやっぱりサーフィンができる海ですね。こうして年間を通して波が良いということ、そして混んでいない海で波に乗れること、家族との時間が充実していることですね。

今すぐにでも海に入りたいところを足止めてしまったにも関わらず、快く質問に答えてくださったHさん。「リラックス・サーフタウン日向」のキャッチフレーズ通り、サーフィンのあるリラックスした暮らしを送っていた。

次回は「リラックス・サーフタウン日向」の暮らしを私自身が体験していく。