筑波大、需要密度と移動距離でどの公共交通の提供コストが安くなるかを研究

需要密度と1人当たりコストを試算した結果、需要密度が10人/km2・hr以下の移動では、自前型が最も安くなり、それ以上では路線型が安くなった(図3)。自前型を除いて考えると、需要密度がさらに低い地域では、カーシェア型が有利となり、さらに0.1から1人よりも下がると、タクシー型が安くなる。ただし、タクシー型とデマンド型の差はわずかである。


図3 需要密度と一人当たり提供コストの関係

さらに、移動距離と需要密度別に、提供コストが最小となる交通機関をマッピングしたのが、図4である。ここでは5種類および自前型を除いた4種類の提供コストを比較している。その中で、自前型を除いた場合、需要密度が低い場合はタクシー型、少し需要密度が高い部分ではオンデマンド型、さらにその上にカーシェア型、最後に路線型が並んでいる。


図4 移動距離と需要密度別に見た公共交通の優位性

東日本の公共交通を調査したところ、現状ではコミュニティバスを運営している地域が多かった、またデマンドタクシーと併用している地域も多い。一方、デマンドタクシーだけを運用している地域は少なかった(図5左)。


図5 東日本における地域公共交通の導入状況とモデルによる分析結果

加えて、全国の自治体における平均移動距離と需要密度を人口密度や施設の分布より算出し、その条件での提供コスト最小の交通機関をマッピングしている。需要密度は、5人/km2・hrが旭川市よりやや大きいレベルで、柏市では30人/km2・hr、世田谷区では200人/km2・hr程度になり、需要密度が低いほど移動距離が長くなる傾向となっている。この結果、図5 右のように、タクシー型が多くの地域で有利となることが分かった。

ただし、同研究では、移動ニーズを全方向に対して等方的にあると仮定して計算しており、実際の移動が集落や施設などの方角によって偏った方向であることは考慮していない。加えて、各種のコストも上記の条件で仮定して計算しているという限定はある。しかし、こうした手法で都市の性質の違いによるコストの変化を分析することは、需要密度の低い地域の提供コスト最小化を検討することに有効といえそうだ。