筑波大、需要密度と移動距離でどの公共交通の提供コストが安くなるかを研究

筑波大学システム情報系社会工学域教授の鈴木勉氏と、博士課程後期の長谷川大輔氏は、2017年11月に日本都市計画学会で、「需要密度・移動距離に着目した多様な公共交通システムの優位性に関する理論的考察」を発表している。今回、その内容について発表者に聞くことができたので、その概要を紹介する。

この論文は、ある一定の条件を与えたときに、路線型、カーシェア型、デマンド型、タクシー型という四つの公共交通で、どのタイプの提供コストが安くなるかを比較したもの。需要密度(単位面積・単位時間当たりの移動者数)と移動距離(1回のトリップの移動距離)で比べていくと、需要密度が高い場合は移動距離によらずに路線型、いわゆる路線バスの提供コストが安く、需要密度が低い場合はこちらも移動距離によらずにタクシー型が有利になるという。

路線型は、路線を決めて走るタイプで、ユーザーが徒歩で停留所まで歩き、その後路線バスなどに乗車、降りる停留所から目的地まで歩くもの。カーシェア型も、カーシェアの拠点まで歩き、クルマを借りて目的地近くまで運転し、拠点に乗り捨てて、徒歩で目的地へ向かう(図1)。


図1 比較した交通サービスの種類

一方、デマンド型はオンデマンドタクシーが代表例で、自分のいる場所に迎えに来てくれるが乗り合いタイプになるため、遠回りして目的地に向かうことがある。タクシー型は完全に自分専用となるため、迂回はしない。

さらに公共交通ではないが、比較のために自家用車で移動することを想定した自前型についても検討した。

比較したのは、ユーザーが平均30分のサービスを受ける場合の、事業者側の提供コストである。実際には、運賃収入を考慮する必要があるが、基本的に自治体が赤字でも運行する場合を想定して、同じサービスを利用する場合に事業者側の提供コストが最も安くなるサービスはどれかを求めた。

設定した条件は、徒歩の速度は3km/h、車両速度はどの場合でも30km/hである。このほか、路線型では、路線コスト(路線を維持するための停留所などのコスト)を90円/km・h、拠点コスト(バスの車両基地など)を50円/カ所・h、車両コスト(車両の取得・利用コスト)を5000円/台・hとした。カーシェア型、デマンド型、タクシー型では拠点コストが100円/カ所・h、車両コストを2500円/台・h、自前型については、拠点コストを200円/カ所・h、車両コストを2500円/台・hとした(図2)。


図2 提供コスト算出のためのパラメーター